『派遣の引き抜き行為は』ご存じですか?!
はい!以前、私の知人が引き抜きの提案を受けていました
彼女は、直接雇用にならなかったみたいですが。。。
そうなんですね
優秀な派遣社員であれば、企業は「自社社員として欲しい」、という気持ちが出てきます
しかし、正当な手順を取らない企業も多くあるのは事実です
引き抜きの提案を受けた場合の対処方法を詳しく説明していきますね!
派遣先企業から「うちの社員として働かない?!」などと、派遣会社には内緒で、派遣先企業から派遣社員へ直接提案があるケースがあります
通常、このことを「派遣社員の引き抜き」などと呼んでいます
【派遣】は派遣会社との雇用契約で派遣先に勤務する制度になっているので、派遣先が自社の雇用にしたい場合は、派遣会社に相談することが筋道であります
では、なぜ派遣先企業は派遣会社に内緒で引き抜きを行うのでしょうか?!
この記事を読むことで、派遣社員の引き抜きが行われている理由、派遣社員にとってのメリット・デメリット、注意すべきポイント、引き抜き提案を受けた際の上手な断り方など、気になるポイントをしっかりと理解することができます
それでは詳しく解説していきます
・派遣社員の引き抜き行為とは?!
・直接雇用のメリット・デメリット
・引き抜き行為を打診された場合の対処方法
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派遣社員の引き抜き行為とは?!
そもそも「派遣社員の引き抜き行為」とはどのようなことを指すのでしょう
派遣の引き抜き行為とは?!
派遣の引き抜き行為とは?!
『派遣先企業が派遣契約が終了した時点で、派遣会社に内緒で、その派遣社員を直接雇用として受け入れること』
派遣社員が派遣先企業で勤めている中において、仕事の評価が高い場合、派遣先企業は「この派遣社員を自社雇用社員として、受け入れたい」という気持ちが出てきます
これは派遣先企業がこの派遣社員を逃したくない、という気持ちからですね
派遣先企業はあくまでも派遣社員は派遣会社の雇用で、「いつ何時、他の派遣先に移ってしまうのではないか」、と不安に思っています
その不安を解消しようと、自社雇用社員として受け入れることを考えます
引き抜き行為が行われている理由
それでは、なぜ引き抜き行為(こっそりと)が行われているのでしょう?!
それは、派遣社員が派遣先の雇用へ切り替える際は、紹介手数料(派遣先企業が派遣会社へ支払う手数料)がかかるからです
※派遣社員を直接雇用にするには職業紹介事業が関わってきます
派遣先企業は「極力、コストをかけずにその対象派遣社員を自社雇用としたい」、という思惑が働きます
本来正規の流れでは、派遣会社に相談をすることで、紹介手数料が発生し、コストが大幅にかかります
ですから、派遣先企業はこっそりと派遣社員と内緒で事を進めようとするのですね
直接雇用への手続き、流れ
それでは通常、派遣社員が直接雇用に切り替わる際の正規の手続き、流れを見ていきましょう
- STEP1派遣先から派遣会社へ直接雇用の依頼をする
- STEP2派遣会社から派遣社員へ直接雇用希望の旨、伝えられる(条件提示)
- STEP3派遣社員の判断が行われる(YES,NO)
- STEP4合意(YES)の場合、派遣契約終了後、直接雇用契約へ
- STEP5無事に切り替われば、紹介手数料が派遣先から派遣会社へ支払われる
上記の手順があります
まず初めに、派遣先企業から派遣会社にその旨(直接雇用したい)、相談をします
ここで、良くある話が、派遣先企業が派遣社員へ話を先に通してしまうことです
これは基本的にはルール違反です
しかし、派遣先企業としては、派遣社員の意思を先に確認してから派遣会社へ相談したいという意図があります
派遣先企業も「派遣社員を欲しい」と派遣会社に要望するのは、派遣会社との関係性をより良好に保ちたいため、要望するにはそれなりの覚悟が必要です
派遣先企業も「派遣社員を取られてしまったら、派遣会社が困ってしまう」、というのを理解しています
そして、派遣先企業から派遣会社へ伝えられたら、派遣会社は対象派遣社員へその旨、伝えます
派遣社員は検討して、YES or NOの判断を出します
YESの場合、現在の派遣契約終了後に直接雇用へ切り替わります
無事に切り替われば、派遣先企業から派遣会社へ紹介手数料が支払われます
※派遣会社にとっては、派遣社員は資産になります 「資産を売却する」といった解釈になります
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派遣の引き抜き行為は違法?! 罰則はあるの?!
派遣社員の引き抜き行為は違法なのでしょうか?
また、罰則はあるのでしょうか?
派遣の引き抜き行為は違法となるの?!
答えは、違法ではありません 従って罰則もありません
労働者派遣法において、下記のように定められています
(派遣労働者に係る雇用制限の禁止)
労働者派遣法第33条
第三十三条 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者との間で、正当な理由がなく、その者に係る派遣先である者(派遣先であつた者を含む。次項において同じ。)又は派遣先となることとなる者に当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用されることを禁ずる旨の契約を締結してはならない。
2 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に係る派遣先である者又は派遣先となろうとする者との間で、正当な理由がなく、その者が当該派遣労働者を当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用することを禁ずる旨の契約を締結してはならない。
例えば「派遣先が労働者派遣を受けた派遣労働者について、当該労働者派遣の終了後、6ヶ月間は雇用してはならない」などと契約することはできません
また憲法第22条では「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」とあります
したがって、法的には違法ではなく、もちろん罰則を課されるものでもありません
しかし、「だからといって許されるものではない」と私は考えます
派遣会社にとっては、派遣社員は資産に値しますので、その資産が無料で提供されては派遣会社の運営に大きな影響をもたらします
正当な手順を踏んで、お互いに気持ちよく、雇用の切り替えが行われるべきだと考えます
派遣社員にとってもその方が気持ちよく職場で働けることに繋がります
違法とはならないが、契約違反になることも
法律的には違法にはなりませんが、現在の派遣法においては、派遣契約書へ【紛争防止措置】の記載を義務付けています
過去にこうした引き抜き行為が横行され、派遣会社、派遣社員からの相談が多くあり、トラブルにも発展した事案が発生したためです
派遣先が派遣労働者を雇用する場合の紛争防止措置
(例)労働者派遣の役務の提供の終了後、当該派遣労働者を派遣先が雇用する場合には、派遣先は派遣期間の末日の少なくとも1ヵ月前までに派遣元に通知をし、派遣元が有料職業紹介を行うことができるときには、別途有料職業紹介の手続きをとり、紹介手数料を支払うものとする
こっそりやる派遣社員の引き抜き行為を防止するための処置ですね
契約違反となった場合は、派遣会社から派遣先が損害賠償請求をされる可能性も十分にあります
※【就業条件明示書】でも記しているので確認してみましょう
直接雇用になるメリット・デメリット
それでは次に派遣社員から直接雇用になるメリット・デメリットを見ていきましょう
このメリット・デメリットを良く考えて、自分の条件に合った選択をしていきましょう
直接雇用になるメリット
まずは直接雇用になるメリットからみていきましょう
雇用が安定する
派遣社員から直接雇用になる最大のメリットは雇用の安定でしょう
派遣社員においては、有期雇用がメインですから、派遣期間の節目で仕事がなくなる可能性もあります
直接雇用においての正社員は基本、無期雇用ですから雇用の不安定感はなくなるでしょう
収入が安定する
派遣社員の給与は時間給制の場合が比較的多いかと思います
毎月、変動して、仕事がないときは、給与を支払ってもらえない場合もあるかと思います
休業補償をしっかりと支払ってくれる派遣会社は良いですが。。。
一方、直接雇用の正社員(月給制)の場合は、毎月安定した給与が保証されますので、収入に不安を持つことはなくなるでしょう
仕事へのやりがいが持てる
派遣社員はあくまで、外部雇用の社員です
大きな責任ある仕事を任せられる機会は少ないかもしれません
正社員となれば、業務範囲の拡大、部下の教育/指導、社内の経営事案まで仕事の幅が広がることもあります
それを「仕事としてできることがモチベーションとなる」ことは大きなメリットだと思います
直接雇用になるデメリット
次にデメリットです
こちらもしっかりと把握した上で判断しましょう
正社員でない可能性がある
直接雇用は保障されますが、それが正社員でない可能性もあります
「契約社員」や「準社員」などが対象の場合です
必ず、雇用形態の種類は確認をしましょう
給料が下がる場合もある
「派遣社員の時の方が給料が良かった」などのケースもあります
特に、専門職(技術職、ITプログラマー、等)で働いていた方は高時給の方もいます
時給で働いていた分、残業代なども時給の125%で支払われています
「直接雇用(月給制)に切り替えて月の収入が減った」、なんてこともあるでしょう
しかし、賞与、退職金など全体で比較すれば多くなるケースもあります
切り替わる前に双方、しっかりと納得した形で切り替えができるよう、収入規定についてはしっかりと確認しましょう
残業、休日出勤が多くなる、休みにくくなる場合もある
私が担当していた会社の中には、派遣社員は残業がなく、社員は残業を多くしている会社も沢山みてきました
「派遣の時は残業が全くなかった」のような方は要注意です
切り替え説明の時にしっかりと残業、休日出勤の程度は確認しましょう
場合によっては、サービス残業があるかもしれません
※派遣は原則、サービス残業はありません
また、企業側からみた社員と派遣社員の見方には差があります
派遣社員の時は、比較的容易に欠勤をすることができたが、社員になれば休みを取りづらくなることもあります
有給についても、派遣社員の時は制限なく取れていたが、社員になると「なかなか雰囲気的に有給が取りづらい」、なんてこともあるかもしれません
引き受ける際はこのことを許容する覚悟も場合によっては、必要となるでしょう
※派遣社員の残業時間/残業手当はこちらで詳しく解説しています
※派遣社員の休日出勤/休日手当はこちらで詳しく解説しています
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引き抜きを受けた場合の対応方法
それでは、引き抜きを受けたときの対応方法について、注意点も踏まえて見ていきましょう
引き抜きを受ける場合
派遣先の担当者が派遣会社に内緒で、「○○さん、うちの社員となってみない?!」なんて初めは軽くこちらの意向を聞いてくることがあります
自分としても、「派遣も長くなってきて、派遣先もそれなりの評価をしてくれているから、引き受けてみようかな。。。」、という場合です
気をつける確認、注意点
1.雇用形態の確認
2.給与、仕事内容、福利厚生、勤務時間、の確認
3.派遣担当者にバレないように
まず、切り替えた際の雇用形態はしっかりと確認しましょう
正社員なのか、契約社員、準社員なのか、これは必ず確認しましょう
雇用形態によって、任せられる仕事の幅、責任、収入まで変わります
次に、雇用契約書をしっかりと提示してもらいましょう
雇用契約書には、勤務時間から、仕事の内容、給与の記載がしっかりとしてあります
不安に思ったことは質問をしましょう
また、福利厚生、社員特典(割引等)なども確認しましょう
後は、引き抜きですから、あくまで派遣会社に内緒でこっそりとやっている、が前提になります
※本来はよろしくないことですけどね
派遣会社にバレタ時のあなたの印象は悪くなるでしょう
内緒でやるのであれば、派遣担当者にバレないように内密に行うことが良いでしょう
しかし、引き抜き行為は一方的な派遣先都合のことであるので、正当な手順を踏むのであれば、派遣担当者へ相談をしましょう
私見としては、引き抜き提案があった場合は派遣担当者に相談することをお勧めします
引き抜きを上手に断る場合
派遣先から「○○さん、うちの社員にならない?!」と言われたが、自分としては今のままの派遣社員の方が良い場合です
せっかく、派遣先は自分の仕事の評価をしてくれ、社員への口も用意してくれているのに、今の派遣の立場の方が自分にとっては都合が良い場合です
派遣社員の立場の方が良い理由は、例えば「残業しないで帰れる」、「仕事の責任を負わされない」、「決まりきった仕事だけしたい」、「深い人間関係が面倒くさい」、「職場の上司で嫌いな人がいる」、「今後、色々な仕事にチャレンジしたい」、など、様々な理由があると思います
自分の都合上、あえて派遣社員という働き方を選択している場合です
また下記のような心配事も出てくるのではないでしょうか
・断ると、今の契約で終了になってしまうのではないか
・断ると、気まずく、職場にいずらくなる
・断ると、他の部署へ異動させられてしまうのではないか
こうした心配事を解消する為にはどのような断り方をすれば良いでしょうか?!
引き抜き行為の上手な断り方
優秀な派遣社員であればあるほど、引き抜きで声がかかる確率は高くなります
自分自身が社員(直接雇用)に希望していれば良いですが、そうでない場合、今の派遣社員の立場のまま、仕事を続けていきたい時の上手な断り方はどのようにしたらよいでしょうか?!
上手な断り方をして、引き続き今の環境で働くための断り方を一例でお見せします
例1)今の派遣社員の立場で派遣という働き方が自分には合っており、この環境のままで、引き続きスキルアップをしていきたいので、派遣のままでよろしいでしょうか?!
例2)家族の都合で、自分が手を取られることが多く、急な対応をしなければならないときがあるため、この派遣社員という立場を選択しています。引き続き派遣で勤めさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?!
例3)今後、夫の転勤の可能性もあり、今の有期雇用が自分としては、非常に満足しております。長期に渡って勤務できるという保証がないので、本来なら社員でやりたいと言う気持ちがありますが、今は派遣のまま働かせてもらえないでしょうか?!
例4)今後、独立の道を考えていまして、今は派遣社員という立場を選択しています。独立までは少し時間がかかりますが、引き続きスキルアップしながら、派遣で勤めさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?!
例5)非常に有難い話でありますが、私は精神的に少し弱いところがありまして、社員の重責に堪えられそうもありません。以前、ストレスで体調不良になったこともありますので、引き続き派遣のままでよろしいでしょうか?!
断る理由は人それぞれ、その人の環境にもよるものかと思います
伝えるポイントとしては、
・引き続きこの仕事が好きで、この立場で働きたい
・有難い話を頂いている感謝を持って伝える
・環境が許すなら、社員で働きたいが、社員になれない理由がある
・「そういう理由なら仕方ないね!」と派遣先が納得してくれる
また、伝えて良くない理由としては、
・給料が減ってしまう
・残業、休日出勤をやるのが嫌だから
・社員でコミュニケーションが合わない人がいるから
などのマイナスイメージを与えてしまうことは言わない方が良いでしょう
いずれにしても、直接雇用の打診を断るにはそれ相当の覚悟、勇気、気を使いますね
断ったら派遣終了されてしまうの?!
また、「引き抜きを断ったら、派遣終了されてしまうの?!」と考える人もいるかと思います
答えは、その可能性は0ではない、です
しかし、上項で述べたように、上手な断り方をして、派遣先にあなたが直接雇用になれない理由を納得させれば、派遣終了はないでしょう
断る際に、マイナスイメージを与えてしまうような伝え方をしてしまうと、かんしゃくに触れてしまい今回で契約終了!、などということも可能性としては、ゼロではありません
※相手も人間ですからね
そうならないように、伝え方には細心の注意を持って、感謝の思いを持ちながら、丁寧に伝えることが重要です
※派遣契約が更新されない予兆はこちらで詳しく解説しています
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まとめ
本来、派遣の引き抜き行為は「よろしくない」ものです
しかし、派遣先はコスト削減を目的に、こっそりと派遣社員へ相談を持ちかけます
この引き抜き行為は、派遣先の一方的なワガママで行われているものです
「派遣社員はそれを受けた被害者でもある」とも考えます
派遣先は派遣会社のことを軽視していることがよく分かります
派遣先企業も「派遣会社のおかげで今の事業が成り立っている」ということが理解できていれば、派遣会社をないがしろにするような、こうした自己の利益だけしか考えない引き抜き行為を行うことはない、と思います
そうした派遣先企業の考え方は、今後のあなたの働き方に関しても、影響をもたらす可能性はあるでしょう
派遣先担当者もいろんな方がいます
派遣先企業も風土、気質、企業理念は様々であります
正当な手順をしっかりと踏んで、3者(派遣先/派遣会社/派遣社員)が気持ちよい体制で継続できることが本来のあるべき姿かと思います
今後、派遣として働く中で、引き抜き提案を受けた際は、派遣担当者へ相談することをお勧めします
派遣の引き抜き行為は、派遣先企業も悪いことだと知っていながら、行っているんですね
そうですね
それが派遣社員の方に悪い影響を与えてしまうということであればやめて欲しいですね
そうなんですね
昔はかなり横行されていましたが、現在は派遣契約書にも盛り込まれて、正しい手順で切り替えが行われている様子が見受けられます
いずれにしても、引き抜き提案があった際は、派遣担当者へ相談をしましょう!
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紹介手数料の相場はどのくらい?!
実際の紹介手数料の相場はどのくらいの金額でしょう?!
これは有料職業紹介という制度を活用し、手数料が支払われます
この金額については、双方の交渉において決定します
①初年度年収の20~30%程度
例)400万円であれば、80万円(20%の場合)
②派遣社員の1ヶ月の稼働請求料金分
例)1ヶ月の稼働請求分が35.2万円(2,200円/H×160H)であれば、その金額
※上記は例です。その他、算出方法は派遣会社による
※職業紹介事業はこちらで詳しく解説しています